【タチウオ釣りのテクニック】玄人ほど基本に忠実!習性を知るべし

タチウオは強い引きが楽しめる、人気の海釣りターゲット。
岸からも、船からも狙えますし、エサでもルアーでも釣れるので、色んな釣り方で楽しめるのも魅力の一つ。
しかも美味しくて、魚屋さんで買うと1,000円以上するのですから、釣れたら嬉しいのも当然です。
そんなタチウオを釣るにあたって「テクニック」があるのを知っていますか?
釣果がアップするテクニックだったり、釣れたタチウオを扱う際のテクニックだったり、食べる際に気を付けることだったり、タチウオ全般に関する知識であったり。
「テクニック」とは辞書で調べると「技巧、技術、技法」という定義になりますが、この記事ではタチウオを釣る際や、タチウオを扱うにあたって役に立つ技巧や技術、技法を紹介します。
この記事の目次
タチウオを狙う「時期」と「時間帯」
タチウオは一年を通して釣れる魚と言われていますが、それでも時期によって釣果に差が出るのは事実です。
船で沖に出る場合はまだしも、防波堤から釣る場合は季節の影響を受けやすい傾向にあるので、タチウオの一年を通じた行動パターンと、一日の中での行動パターンを紹介します。
タチウオの行動パターンを知ろう
それではまずタチウオの一年の行動パターンを、3ヶ月ごとに割って、見ていきましょう。
まずは1月から3月。
冬場ということもあり、タチウオがなかなか岸へ近づいてこない時期です。
沖でもタチウオは大分深くに潜んでおり、船釣りでは80m前後のタナを指示されるでしょう。
また活性も低く、ルアーのアクションには反応が鈍いです。
そして4月から6月に掛けてですが、少しずつ岸に寄ってくる機会が増えるでしょう。
特に6月に差し掛かると気温も上がってきますし、タチウオの活性があがり、タチウオアングラーには楽しい季節がはじまります。
目安としては人間が半袖で外出できるくらいの気温になれば、岸からでもタチウオが釣れやすくなるといえるでしょう。
気温もそうですが、海水温は地域によってまちまちなので一概には言えませんが、地元の釣具屋さんや、地元の釣りのコミュニティーから情報を得ると確かな情報が得られるかもしれません。
一説によると6月から産卵期に入るため陸近くに産卵し、且つ産卵前だと食欲も旺盛なる、と言われています。
そして7月から9月にかけての夏ですが、数と量、ともに最盛期です。
タチウオも深層から表層まで活発に動きまわりますし、なにせ食いつきが良い。
素早く動くルアーにも敏感に反応するでしょう。
岸からも、船上からも、エサでもルアーでも、一日中釣り続けたくなる季節ですね。
そして10月から12月に掛けて気温が下がっていくにつれて、タチウオも岸から離れていき、また深い層へと潜っていきます。
真冬の時期ほどではないのである程度の釣果は見込めますが、徐々に岸からは釣りずらくなっていくでしょう。
マズメのタイミングを知るべし
タチウオが岸に近づいてくる6月から11月あたりまでの時期ですが、タチウオが一日を通してどのように行動しているかお話します。
まず朝方、4時頃から朝日が昇る6時前後までが「朝マズメ」と呼ばれ、タチウオが活発にエサを食べるタイミングです。
表層に近いエリアを回遊するので、ミノー等のトップルアーで誘うのが定番とされていますが、ワインドやパワーシャッドなどダートしたりする激しい動きのルアーもオススメです。
朝日が昇って朝マズメが収まると、タチウオの動きも収まり、次の夕方のマズメまで深い層で大人しく過ごします。
この時間帯はバイブレーションやメタルジグなどで深い層をアプローチするのが正解でしょう。
そして日が沈みはじめてから暗くなるまでの17時から19時前後、ここが夕方のマズメで、朝のマズメ時同様にゴールデンタイムとなります。
ちなみにワインド釣法や、夜光のルアーを使うとマズメ前から食いを誘いやすいでしょう。
夕方のマズメが終わると、日中のようにまたタチウオは大人しくなります。
ですが、タチウオは日中と比べると夜の方が活発なので、夜通しで釣るアングラーもいるほどです。
特に夜光ペイントを施したルアーや、蓄光を施したワームは夜間のアピールが抜群なので、マズメ時程ではないにしても夜間から朝方にかけては釣りやすい時間帯と言えるでしょう。
タナ取りでタチウオの居場所を掴め
タチウオの行動パターンを理解していれば、およそのタナは推測できるのですが、一筋縄でいかないのがタチウオ釣り。
「ゴースト」という異名を持つ程、タチウオの居場所が掴めない時があります。
一度アタるタナを見つけたら、あとは重点的にそこを攻めれば良いので、釣り場で着いたらまずはタナ取りをして、タチウオの居場所を掴みましょう。
バイブレーションを活用すべし
タナ取りにオススメなのがルアーのバイブレーション。
バイブレーションはタダ巻きでもアクションを起こしてくれるのが特徴ですが、重いモデルも多く、底まで探れる特徴もあります。
バス釣りではバイブレーションを「サーチルアー」、「サーチベイト」と呼ぶ事もあり、タナ取りの役割も担っているのです。
バイブレーションでタナを取るテクニックですが、「カウントダウン」と呼ばれる手法があります。
カウントダウンはまずキャスト後、バイブレーションが底に着くまでの秒数を数えます。
例えば6秒で底に着くと分かったら、次のキャスト後は着水から5秒でリトリーブをはじめてください。
そして次は着水から4秒後、その次は3秒後・・・といった具合でそれぞれのタナを調べていくのです。
この方法でアタリを見つけたら、あとはそこを重点的に攻めていくのですが、次はタナを見つけた後どのようにタチウオを狙っていくか、そのテクニックを紹介します。
タナ取りからの攻め方
タチウオが深い層から中層に掛けて潜んでいる場合にオススメなのが
- バイブレーション
- メタルジグ
- 重めのテンヤを装備したエサ
- 重めのジグヘッドを装備したワーム
深い層に潜んでいる時間帯は、活性が低いケースも考えられるので、攻め方としてはゆっくりとストップ&ゴーで誘うのが良いかもしれません。
ですが、時間帯によってはダートするワインドがキッカケで活性が上がることもあるので、アタリが来ない場合は複数のルアーを試してみると良いでしょう。
そして中層から表層にタチウオがいる場合ですが
- ミノー
- スプラッシャー
- ポッパー
といったトップルアーがオススメ。
表層近くいる時は小魚を追っていることが多いので、トップルアーを使って小魚の一つに扮し、トゥイッチやストップ&ゴーのテクニックを織り交ぜてタチウオの食いを誘いましょう。
タチウオの活性が高い時はポッパーやスプラッシャーでナブラを演出してみるといいかもしれません。
釣った後は持ち方に注意
釣った後も油断できないのがタチウオ。
バス釣りの様に魚の口に指を掛けて持ちますが、これはタチウオでは厳禁です。
タチウオは鋭い歯を持っており、口を直接手で持つと間違いなく噛まれてしまうでしょう。
そもそもなぜタチウオの歯がこんなに鋭いかと言うと、小魚からイカ、甲殻類と何でも食べるので、鋭くて丈夫な歯を持っているのです。
これはタチウオを手で持つ時以外でも、仕掛けの段階から注意すべきで、ラインに直接ルアーを繋いでいるとラインを噛みきられる可能性があります。
そこでワイヤー製のリーダーが勧められているぐらいですし、それぐらいタチウオの歯の鋭さは注意が必要なのです。
タチウオ釣りには必須の魚つかみ
とは言っても、タチウオを釣ったらどうにかして握らないと針が取れません。
そこで活躍するのが「魚つかみ」と呼ばれる、トングの様なもの。
これを使い、首の付け根を背中側から掴みます。
腹側から掴むと、手に向かって噛みつかれる事もあるので、極力背中側からタチウオを掴みましょう。
また「首の付け根」というのもポイントで、首よりも下の部分を掴むとタチウオの頭が動きすぎて手に噛みつかれる可能性がありますし、頭寄り過ぎるとバランスが悪くて落としてしまう可能性もあります。
ですので、首の付け根が一番バランス良く持つことができ、安全な位置なのです。
尚、タチウオを釣りあげた後にラインを持ったり、ルアーを持ったりする人もいますが、これもタチウオを固定できず、噛みつかれる可能性があるので、控えましょう。
噛みつかれなくても、暴れた結果針が取れて、自分に刺さってしまうことがあります。
針の外し方
タチウオが暴れない形で掴めたら、次は針を外しましょう。
まずタチウオの背骨を大型のペンチで捻って折ります。
こうすることによりタチウオが動かなくなるので、確認の後に口から針をペンチで外してください。
タチウオが動かなくても、誤って歯に振れてしまうと怪我をしてしまうので、必ずペンチを使いましょう。
タチウオ以外も海の魚には気をつけよう
実は海にはタチウオ以外にも触れると危険な魚がたくさんいます。
海で釣りをしていると、こういった魚が釣れる可能性も十分にあるので、知っておいて損はないはず。
まずはエラ付近のトゲが要注意の「マゴチ」。
歯はタチウオの様に鋭くないのですが、タチウオと違って体に厚みがあるので、釣った後はフィッシュグリップを使ったり、タオルで包んで針を外したり、といった工夫をしましょう。
歯で要注意なのが「チヌ」と「キジハタ(アコウ)」です。
チヌは堅い甲殻類を好んで食べるため、顎の力が他の魚の何倍もあると言われています。
歯自体に鋭さは無いのですが、噛まれると怪我をする可能性が高いので要注意です。
キジハタ(アコウ)はタチウオと同じく鋭い歯を持っているので、バス持ち厳禁。
また体がヌルヌルしているのと、体が大きいのでトングは使えません。
やはりここもフィッシュグリップが必要になるのですが、オススメがマルシン社の「ヴィーナスグリップ」。
http://www.mr-dragon.jp/html/116523.html
タチウオは薄い体なのでトングで掴むのがベストですが、体に厚みや膨らみがある場合はフィッシュを使って口元を掴んでください。
釣りは針を扱いますし、時には毒を持つ魚に巡り合うこともあるので、日ごろから注意しましょう。
食べる時は食中毒「アニサキス」に注意
釣るのも楽しいタチウオですが、食べるのも魅力の一つ。
タチウオは脂のノリがよく、料理人にも人気の食材として知られています。
釣ったばかりの新鮮なタチウオは刺身で食べるのは一番ですが、ここで注意しなければいけないのが「アニサキス」と呼ばれる寄生虫です。
アニサキスは元々クジラやイルカなどの哺乳類に寄生しているのですが、クジラやイルカの便を通じてタチウオにも寄生します。
タチウオの体内に入ると腸に潜伏するのですが、タチウオが釣り上げられて新鮮さが失われると、体温が上がり、弱っていきます。
するとアニサキスは腸から、タチウオの他の部分へ自らドリルのように刺さりながら進んでいくのです。
タチウオを釣り上げた後も、クーラーで冷やすなどしておけば、アニサキスは腸に留まるので、さばく際に腸と共にアニサキスは取り除かれますが
アニサキスが腸から出てしまうと、タチウオをさばいてもアニサキスを見つけるのが難しくなります。
もし摂取すると?
アニサキスがタチウオの身に侵入してしまい、気づかず人間が食べてしまうと腹痛や嘔吐といった症状を引き起こすのがアニサキスの特徴です。
タチウオの腸から他の部分へ移動するように、人間の胃に入ると胃壁を突き破るべくドリルのように刺さるので、針で刺すような痛みが上腹部に走り、そして嘔吐、発熱をいった症状を引き起こすと言われています。
また腸にアニサキスが侵入するケースもあり、同じく腹痛や嘔吐と言った症状を引き起こしますが、場合によっては「腸閉塞」や「腸穿孔」といった症状も併発することもあり、この場合は手術が必要となります。
治療法としては、
- 内視鏡でアニサキスを取り除く
- 内服薬の投与
- 腸に侵入した場合は摘出できないため、鎮痙薬などを投与しつつ、アニサキスが死亡するのを待つ
といったものが考えられますが、基本的にアニサキスは体内で長く生存することができないため、長期的な症状にはなりません。
いずれにせよ、タチウオを食べた後に腹痛や嘔吐といった症状が出た際は、すぐに病院で診療してもらいましょう。
尚、アニサキスはタチウオ以外の魚にも寄生するのですが、例を挙げるとサケ、サバ、アジ、イカ、タラとった魚介類です。
どれも日本人の食文化ではなじみ深いものなので、皆さんも口にする機会が多いかと思われますが、予防方法や対策を紹介します。
予防方法を知っておこう
まず一番重要なのは、釣った後すぐに冷えたクーラーにタチウオをこと。
一般的に4℃以下ならば、アニサキスを腸に留めることができると言われているので、クーラー内の温度は4℃以下になるように調整しておきましょう。
そして、家に帰ったらすぐにタチウオをさばいて、内臓を取り出す等の処理を行ってください。
また、目視での確認も行いましょう。
アニサキスは寄生虫の中では肉眼で確認しやすいサイズと言われているので、内臓や内臓周りの背骨付近に、白い糸のような、白い線状のものが無いか確認してください。
また加熱・冷凍という温度の変化による処理も有効です。
加熱の場合、刺身では無くなりますが参考までに紹介しますと、70℃以上の加熱でアニサキスを死滅させることができます。
そして冷凍の場合ですが、-20℃以下で24以上冷凍させることで死滅するので、自宅の冷蔵庫で冷凍する場合は冷凍庫の温度を確認してみてください。
まとめ
本記事では「テクニック」というキーワードを中心に、以下を紹介しました。
- タチウオが釣れる季節やタイミング
- タチウオの居場所を探すテクニック
- タチウオを安全に掴むテクニック
- タチウオを食べる時に気を付けるべきこと
まずタチウオは一年を通して釣れる魚ですが、時期によって行動パターンが変わってくるので、釣れる場所が違ったり、時期に適した釣り方があったりします。
また、タチウオは細長くて、薄い体をしているので、他の魚とは違う掴み方をする必要があり、タチウオ専用の道具を紹介しました。
そして自分で釣った新鮮なタチウオを食べるにあたって注意すべき寄生虫「アニサキス」についても、概要から予防方法や対策を紹介したので、紹介した点を押さえれば美味しく安全にタチウオを食べられるでしょう。
アングラーとして一番興味をそそられるのは、直接釣果のアップにつながる情報かもしれませんが、こういったテクニックやコツも役に立つので参考にしてみてください。